パリ五輪が開幕した。国内スポーツ用品大手のアシックスやミズノなどはシューズやウエアなどを日本選手などに提供する。サステナビリティー(持続可能性)を重視した素材や、赤外線カメラによる下着などの盗撮を防ぐウエアなど新技術でアスリートを支える。
アシックスは26日の開会式で日本選手団が着用したランニングシューズ「ニンバスミライパリ」を提供した。4月に発売したリサイクル可能なシューズの五輪用モデルで、熱を加えるとはがれやすくなる接着剤を使い、強度や機能性を確保したうえで素材を再利用しやすくした。
2021年の東京大会に続き、ムレを軽減して快適な着心地を実現する独自技術「アクティブリーズ」を使ったウエアも提供する。体の動きによって開閉する通気孔を配置した。パリ大会用のポディウムジャケット(表彰台ジャケット)やパンツはリサイクル材の採用や生産時に再生可能エネルギーを活用するなどして、温暖化ガス排出量を東京大会用から約34%削減した。
ミズノの新作競泳用水着「GX・SONIC6」は撥水(はっすい)性を高めて繊維に水が入り込むのを防ぎ、従来モデルに比べ水中での重さを最大6%ほど軽量化した。陸上で男子200メートル代表になった自社所属の飯塚翔太選手とは高反発素材「ミズノエナジーライト」を採用したスパイクを共同開発した。男子400メートルの佐藤風雅選手も着用する予定だ。
赤外線カメラによる下着などの盗撮を防ぐウエアを、女子バレーや女子卓球など14競技の日本代表にユニホームや練習着として提供する。人体から出る赤外線を吸収する特殊な鉱物を練り込んだ繊維を使い、下着や体が透けにくくした。かねて問題になっているアスリートの盗撮被害を防ぎ、競技に集中できる環境づくりを支援する。
デサントは独自の「ねじり構造」を採用した水着「アリーナ アクアフォース ストーム」を提供する。キックで重要になる股関節を内側にひねる動きをしやすくした。ゴルフの日本代表チームには冷却と紫外線(UV)対策機能があるウエアを提供する。
アシックスが国内の最上位スポンサー「ゴールドパートナー」を務めるなど、スポーツ用品メーカーにとって五輪は資金面での負担もあるイベントだ。一方で、着用した選手がメダルを獲得すれば技術力のアピールにもつながるなど、「ブランド価値を高める意味で最高の舞台」(ミズノの水野明人社長)でもある。アシックスのオンラインストアでは日本選手団モデルのポロシャツが3日で完売するなど一般向けの販売増加も期待できる。
(堀尾宗正、神保寧央、太田聖哉)
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