北海道新幹線札幌延伸推進会議の初会合に出席する沿線自治体の首長ら=札幌市中央区のホテルで2024年7月30日午前9時3分、片野裕之撮影

 開業が2030年度末から遅れる北海道新幹線(新函館北斗―札幌)を巡り、鉄道建設・運輸施設整備支援機構は30日、地質不良により工事が遅れている工区のボーリング調査結果が今秋から冬以降に出るとの見通しを明らかにした。国の有識者会議はこの調査結果も踏まえて新たな開業時期を検討するため、時期の公表は来年以降になるとみられる。

 道が主宰する北海道新幹線札幌延伸推進会議の初会合で、機構の藤田耕三理事長が説明した。渡島トンネルで工事が難航している台場山と南鶉の両工区はもろく崩れやすい地質や粘土質の膨張しやすい地質で、掘削率はいずれも30%台にとどまる。これから掘削する地質の状況を把握するため、6月から約500メートルのボーリング調査を実施している。

 出席した北斗市の池田達雄市長は「我々が一番求めているのはいつ開業できるか(の提示)。年内には開業時期を示すことができないと理解した」と述べた。機構は取材に「技術的根拠をもって示すことが重要と考えている。ボーリング調査などの結果を踏まえ、有識者会議で議論する」としている。

 会合では4月から掘削が止まっている羊蹄トンネルの工区で約2メートルの岩塊が見つかり、8月に撤去作業に着手することも報告された。

 推進会議は、機構が5月に開業時期が数年遅れると国土交通省に報告したことを受け、道などが円滑な情報共有を目的に設置した。今後、工事の節目などに開催する。【片野裕之】

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