中国東部の山東省で完成したばかりのBYDの輸送船に積み込まれるBYDの新車=ロイター

日本自動車工業会(自工会)が31日発表した2024年1〜6月の日本の自動車輸出は、前年同期比微減の201万台だった。中国は31%増の279万台で日本を78万台上回り、2年連続で輸出世界首位となった。比較的安価な電気自動車(EV)などを世界に輸出し、日本との差を広げた。

自工会によると日本は円安を背景に北米向けなどが伸び、乗用車は2%増の183万675台だった。一方でトラックは17%減の14万1371台に落ち込んだ。全体では0.3%減の201万7660台だった。1〜6月が前年同期比でマイナスになるのは2年ぶり。

中国は東南アジアや欧米向けが堅調だ。中国汽車工業協会によると、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)といった「新エネルギー車」が輸出の2割強を占める。電池材料の供給網が盤石なため、車載電池を安く調達できる強みがある。

24年通年ベースでも中国が輸出首位となる公算が大きい。中国は24年に500万台規模の輸出が視野に入ったが、日本はリーマン・ショック前の08年(672万台)を最後に年間500万台の大台は超えていない。

中国は安価なEVを武器に、日本が牙城としてきた東南アジア諸国連合(ASEAN)のシェアを奪いはじめている。スズキはEV化が進むタイでのシェア回復は難しいと判断して生産撤退を表明したほか、SUBARU(スバル)も工場閉鎖を決めた。

日本国内でも中国車が増えつつある。EV最大手の比亜迪(BYD)は日本で3車種目のセダンEV「シール」を6月に発売した。同社はEVバスのシェアで国内首位でもある。日本勢が出遅れた電動車で攻勢をかけている。

中国車を警戒する動きは世界で広がる。米政府は中国製のEVに現状の4倍に当たる100%の制裁関税を課すと発表した。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は中国製のEVの輸入に関して最大38%の追加関税を課すと発表している。

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