国土交通省から初の是正命令を受けたトヨタ自動車。これまでに7車種で不正が明らかになり、7月初めには「新たな不正は見つからなかった」と発表していたが、それが覆された格好だ。トヨタはこれまで掲げた開発体制の見直しとともに生産再開への取り組みを急ぐ考えで、業績や顧客への影響をどこまで小さくできるかが鍵になる。
トヨタによると、以前の認証不正で生産を停止している「ヤリスクロス」など3車種については、国交省の基準適合が得られたため、9月上旬に生産再開の見通し。今回新たに不正が指摘された「ヴォクシー」などの車についても、7月29日から出荷停止にしているものの、国交省から基準適合を受けており、再開を急ぐという。
トヨタは今回の不正発覚で「新たな生産への影響はない」との見通しを示すが、従前に不正が指摘された3車種は2カ月以上、生産が停止することになる。
トヨタは2024年3月期決算の発表時、世界販売台数(レクサス含む)を1040万台(前期比100・9%)と見込んだ。一方、7月30日発表の今年1~6月の世界販売台数は、グループ不正などの影響で489万2259台と前年割れだった。
トヨタは生産計画を維持するため、今後、増産体制を取るとみられる。
ただ、東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは「トヨタは納車待ちの顧客がいることを踏まえ、1000万台規模の目標維持のため、下半期に生産業務を増やすのではないか。生産現場で『余力作り』の努力をしているとはいえ、現場に負荷がかかることによる品質問題がまた起きないか心配だ」と指摘している。【大原翔】
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