東北財界の支援制度を活用した地場中小企業によるナノテラスの産業利用が始まった(2日、仙台市)

4月に仙台市で稼働した巨大顕微鏡「ナノテラス」を地域の中小企業の研究開発に生かしてもらうため、東北経済連合会が任意団体を通じて立ち上げた利用支援スキームが始動する。同スキームの会員企業が2日、初の測定に臨んだ。ナノテラスの産業利用の裾野が徐々に広がってきた。

ブリヂストン子会社の旭カーボン(新潟市)がタイヤなどに使うカーボンブラックの表面の化学結合などを観察した。担当者は「表面の性質を解き明かすことでタイヤなどの性能向上につなげたい」と話した。

企業や大学によるナノテラスの利用はすでに始まっているが、旭カーボンは任意団体「ものづくりフレンドリーバンク(MFB)」の会員として利用第1号となる。

ナノテラスは新素材や創薬など幅広い研究開発に生かせるが、企業や大学が利用するには1口5000万円の加入金で年200時間(期間10年)の利用権を得る必要がある。

東経連ビジネスセンターは2019年にMFBを設立。加入権を100分の1に分割し、1口55万円で年2時間(同)利用できる形で東北・新潟の中小企業から会員を募った。

MFBには一般会員59社が参加している。旭カーボンも複数口を拠出し、初日は8時間分を利用した。担当者は「単独で5000万円の拠出は難しく、MFBの仕組みは魅力的だった」と話す。

仙台市も同様の仕組みを用意し、年2000時間の利用権を地元の中小企業などに小分け(1時間約4万円)で提供している。初年度分は約1割(200時間程度)の利用がすでに確定している。担当者は「相談も10件以上あり、さらに伸びる感触がある」と話す。

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