宇宙に旅立つときは、保険に入るのを忘れずに――。損害保険大手で、民間の人を対象とした「宇宙旅行」のリスクを補償する保険の提供・開発が始まっている。
東京海上日動火災保険は4月、宇宙旅行者向けの保険の提供を始めた。宇宙への出発日から地上に帰還する日まで、旅行者本人の死亡や後遺障害を補償する。
宇宙旅行には、国際宇宙ステーションに滞在しながら地球を周回する「オービタル旅行」▽ジェット機などで数秒~数十秒間の無重力状態を体験できる「疑似宇宙旅行」――など、さまざまな種類がある。
東京海上日動はこうした旅行形態のほか、到達する高度や滞在日数、搭乗機などに基づき、契約者ごとに補償範囲や保険料などを決める。
宇宙旅行を巡っては、英ヴァージン・グループ傘下の宇宙旅行ビジネス会社「ヴァージンギャラクティック」が2023年に、一般の客を乗せた初の商業宇宙飛行に成功。このほど、同社と契約する日本人男性が宇宙旅行に向かう日が近付いてきたことから、東京海上日動が宇宙旅行保険の商品化に乗り出した。
今後は、宇宙ステーションに滞在する旅行者向けに遠隔医療サービスなどを付けた商品の開発も検討する。東京海上日動で宇宙保険事業を担当する吉井信雄さん(57)は「契約手続きや、万が一の際の連絡方法など、使い勝手をよくしたい」と話す。
国内損保では、三井住友海上火災保険がANAホールディングスや旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)などと連携して宇宙旅行保険の開発を進めている。損害保険ジャパンは「将来的に提供できるように検討を進めている段階」(広報)としている。【井口彩】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。