京都産業大学の大型望遠鏡にセラミックス製の反射鏡を搭載する

京セラは京都産業大学や光学機器設計のフォトクロス(京都市)と共同で、セラミックス素材を反射鏡に使った天体望遠鏡を開発すると発表した。従来のガラスに代わって京セラが強みとする高強度のセラミックス素材を使う。反射鏡を軽量化でき、望遠鏡を位置決めする際に高精度で動かしやすくなる。

京産大の神山天文台(京都市)にある大型望遠鏡で、反射鏡をセラミックス素材のものに置き換える。鏡は望遠鏡内で光を集める役割を果たす。今回の望遠鏡は2025年の完成を目指す。将来的には人工衛星に搭載する望遠鏡の開発につなげる考えだ。

直径1.3メートルの主鏡はガラス製で500キログラム。セラミックスでは3分の1以下の150キログラムまで軽量化できる。望遠鏡の機体自体を軽くでき、観測対象に焦点を当てる際などに、より高い精度で動かせるようになる。

京セラが製造するコージライト製の主鏡の裏側

京セラが使うのは、「コージライト」と呼ばれる品種のセラミックス素材で、温度変化による膨張や収縮がほとんどない。ガラスの約2倍の強度があるため、鏡の裏側を薄くすることができたことも軽量化につながったという。鏡面にあるナノレベルの微細な凹凸をフォトクロスの技術を生かして研磨する。

京セラの加治木尚人執行役員は「大学と組むことで開発スピードを上げることができる。信頼性の高い部材を供給していく」と話す。京産大は4月、理学部内に「宇宙産業コース」を設け、宇宙関連の研究の産業応用や人材育成に力を入れている。

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