【ヒューストン=花房良祐】米国家運輸安全委員会(NTSB)は7日まで航空機大手の米ボーイングの幹部などから2日間にわたり公聴会を実施した。1月に発生した小型機「737MAX」の事故の原因究明を進め、再発防止につなげる。ボーイングは小型機の設計を変更すると表明した。
NTSBは航空や鉄道、パイプラインなどの事故を調査し、再発防止に向けた勧告をする独立機関。NTSBは6日、ボーイングの1月の事故を巡って約3800ページに及ぶ関係者へのインタビューや調査書を公開した。
1月、飛行中のアラスカ航空運航の「737MAX」の胴体に穴が開いた。非常口を覆うパネル「ドアプラグ」を留め具で固定し忘れ、上空で吹き飛んだことが原因だ。
部品会社から納入された留め具に不具合があったため取り外したが、交換部品を取り付けるのを忘れた。作業したボーイングの工場員は特定されていないという。
事故を受け、ボーイングの製造品質に懸念が高まった。NTSBのジェニファー・ホメンディ委員長は「ボーイングの安全文化を大きく変える必要がある」と批判した。
一方、ボーイングのシニアバイスプレジデント、エリザベス・ランド氏は「固定されていないドアプラグを閉じられないよう、設計を変更する」と話した。
ランド氏は「737MAX」の生産ペースは事故後に一時は月8機まで低下し、現在は月20機台ということも明らかにした。本来は月38機の生産を米連邦航空局(FAA)から許可されているが、事故を受けて減産を強いられた。
監督官庁のFAAとボーイングのなれ合いも指摘されており、批判する声もある。FAAは航空機の型式認証から生産方法に至るまで許認可する官庁で、航空機業界で強い権限を持つ。
FAAはボーイングと普段から情報共有するなど緊密に協議する関係にあるが、世界の航空機市場はボーイングと欧州エアバスが寡占している。
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