1月に開催したVチューバーのライブイベント「神椿代々木決戦二〇二四」(東京都渋谷区)

バーチャルユーチューバー(Vチューバー)を軸としたコンテンツ開発を手掛けるTHINKR(シンカー、東京・目黒)は、Vチューバーを間近で体験できる音楽ライブ事業を拡大する。体の動きをデジタルデータ化する「モーションキャプチャー」の自社施設を年内にも開設する。コンテンツの制作・運営を担う人材を中心に2〜3年以内に社員数を2倍の200人規模に増やす。

事業拡大に向けてベンチャーキャピタル(VC)のジャフコグループ、阪急阪神ホールディングス(HD)など9社を引受先とする第三者割当増資で47億円を調達した。これとは別にりそな銀行からの融資で3億円を借り入れた。シンカーがVCなど外部から資金調達するのは初めて。

2007年の設立当初は企業広告や映像の受託制作が主力だった。18年からエイベックスグループの子会社となり、Vチューバーなど自社IP(知的財産)の開発や、現実と仮想空間を融合するクロスリアリティー(XR)ライブに力を入れる。24年1月に都内で開催したライブイベントには10代〜20代前半の若者を中心に現地・配信を合わせて2日間で3万人の観客を集めた。

今回調達した資金のうち、半分強を活用してエイベックスが持つ自社株式を買い取った。今後は独立したスタートアップとして運営し事業展開を速める。残りは設備投資や人材採用、M&A(合併・買収)などの成長投資に充てる。

阪急阪神HDとは業務上も提携し、体験型エンターテインメントで新たなプロジェクトを検討する。針谷建二郎代表は「XRライブは欧米やアジアでも人気が高まっており、今後は海外に展開したい」と話す。

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