シーメンスのブッシュ社長(24年6月、独ベルリン)=AP

【フランクフルト=林英樹】機器・システム世界大手のドイツ・シーメンスが8日発表した2024年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比48%増の21億3300万ユーロ(約3400億円)だった。主力の産業用機器の販売が低迷したものの、ソフトウエアのライセンス事業が好調だった。

売上高は4%増の189億ユーロだった。ローランド・ブッシュ社長は同日の決算記者会見で「再生可能エネルギーの増加に対応するため、産業部門は早急な近代化が必要になっている」と述べ、デジタル事業の拡大に期待を示した。

顧客企業が主に中国で制御機器などの在庫を積み増しており、工場の自動化機器の受注を減らした。一方、ソフトのライセンス事業で大型案件を複数獲得した。デジタル産業部門全体の受注額は19%増の45億4000万ユーロ、売上高は2%減の48億9300万ユーロだった。

経営体制も変える。10月から取締役会の体制を5人から7人に増やす。金融サービス部門トップと、デジタル技術を統合した新たな基盤「Xcelerator(アクセラレーター)」を立ち上げた最高財務責任者(CFO)が加わり、多様な事業領域の意思決定スピードを上げる。

シーメンスが株式17%を持つシーメンス・エナジーの4〜6月期の最終損益は1億200万ユーロの赤字(前年同期は29億3100万ユーロの赤字)で、赤字幅が縮まった。ガスタービンの受注額は2倍超に増えたが、風力発電機子会社シーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジー(スペイン)の品質欠陥の影響から、全体の受注額は30%減った。

エナジーの売上高は19%増の87億9700万ユーロだった。同社のクリスチャン・ブルッフCEOは「課題は残っているが、将来については楽観的だ」と述べ、24年9月期の売上高が10〜12%増となるとの従来予想を据え置いた。

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