ENEOSホールディングスの田中聡一郎副社長執行役員は9日の決算記者会見で、完全子会社のJX金属が実施中のタツタ電線へのTOB(株式公開買い付け)について言及した。価格を1株720円から780円に引き上げたことについて「今の価格が最終的な条件だ。(現在の日程で)TOBが成立しない場合はこれ以上延長せず、持ち分法適用会社として継続する」と述べた。
JX金属は6月21日にグループ会社のタツタ電線へのTOBを開始した。7月26日にはTOB価格の引き上げのほか、買い付け期限を8月2日から19日に延長することを発表した。
JX金属はタツタ電線株を37%持つ。TOBは株式の29.86%を買い付け下限として、上限を設けずに完全子会社化を目指している。タツタ電線は株主にTOBへの応募を推奨している。9日のタツタ電線株の終値は778円だった。
JX金属は2022年にTOBを発表し、当初は23年6月の開始を見込んでいた。中国の競争当局による審査のため開始が遅れた経緯がある。日経平均株価などがこの間に上昇するなかで、買い付け価格は720円に据え置いていた。
銅精錬を行うJX金属は銅関連部材で高いシェアを持つタツタ電線を完全子会社化して相乗効果を高める狙いだ。
【関連記事】
- ・JX金属、タツタ電線へのTOB開始へ 21日から
- ・ENEOSが悩む再編のツケ 巨艦に迫る捨てる覚悟
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。