関西電力は美浜原子力発電所(福井県美浜町)3号機で計11人が死傷した蒸気噴出事故から20年を迎えた9日、同原発で追悼式を開いた。森望社長は構内の石碑を前に、「事故の再発防止対策の確実な実施に取り組み、安全の実績を一つひとつ積み重ねていく」と誓った。

石碑の前で「安全の誓い」を読み上げる森社長(9日、福井県美浜町)

この日は原子力担当の水田仁副社長や事故発生時社長だった藤洋作氏ら43人が出席。事故が起きた午後3時22分ごろに合わせて黙とうし、献花した。その後、森社長は協力会社32社を前に「今後も原発をしっかり活用していくが、その大前提となるのが安全の確保。共に働く仲間を守るとの決意で力を尽くしていく」と述べた。

事故は2004年8月9日、蒸気タービンで出てくる水を再度、蒸気発生器に戻す「復水」配管の現場で発生した。配管が破損し、熱水と蒸気が噴出。協力会社の社員5人が死亡し6人が重傷を負った。事故が起きるまでの28年間、薄くなっていく配管の肉厚を一度も測定していなかったことが原因だった。

関西電力は毎年この日に追悼式を開き、安全への誓いを新たにしている。ただ20年が経過し、およそ半分の社員が事故後に入社している。このため今年から入社2年目の全社員を対象に美浜原発で研修を実施。当時事故対応にあたった元社員から話を聞くなど安全意識を醸成する取り組みを強化している。

式後に記者会見した森社長は、原発の新増設・リプレイス(建て替え)について、「エネルギーセキュリティーや脱炭素でおのずと必要になってくるが、いつどこでというのは決まったものはない」と説明した。

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