テレビ向けの液晶パネルを手掛けるシャープの生産子会社「堺ディスプレイプロダクト」(堺市)

シャープは21日、堺市の工場でテレビ向け液晶パネルの生産を終了したことを明らかにした。シャープは国内メーカーとして唯一テレビ向けの大型パネルを手掛けていた。生産終了に伴い、国内のテレビ向けパネルの生産拠点はゼロとなった。

ガラスなどの部材を堺工場内の生産設備に投入し液晶パネルにするまでの工程が終了した。今後もパネルに回路や偏光板を取り付けてテレビ用のディスプレーに仕上げる作業は残るものの、パネルの生産に限れば21日が最後になった。

シャープの小坂祥夫最高財務責任者(CFO)は8月上旬の決算会見で堺工場に関し、「液晶ディスプレーへの加工を終え、(テレビ向けパネルは)2025年3月末までに在庫をゼロにする」方針を示していた。液晶パネル事業は三重県と石川県の工場で手掛けるスマートフォンや車載向けの中小型に集中する。

生産停止後の堺工場の建屋や土地はAI(人工知能)データセンターへの転用を目指す。ソフトバンクやKDDIなどと協業に向けた協議を進めている。

米調査会社DSCCによると、23年のテレビ用液晶パネルの世界シェアは京東方科技集団(BOE)など中国メーカーが上位を占めた。シャープは7.9%で世界5位だった。

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