大企業を中心に柔軟な働き方を受け入れる傾向が強まった(4月、東京・丸の内)

パーソル総合研究所は22日、日本の正社員のテレワーク率が22.6%で2年ぶりに増加に転じたと発表した。特に従業員数が1万人以上の大企業のテレワーク率が上昇し全体をけん引した。テレワークでの働き方を好む高スキル人材の不足感が続くなか、大企業を中心に柔軟な働き方を受け入れる傾向が強まった。

調査は9回目。7月12〜16日に全国の20〜50代の就業者3万1321人に対してインターネットを通じ実施した。

正社員のテレワーク率は前回調査(23年7月実施)に比べ0.4ポイント増えた。新型コロナウイルス禍中の22年2月調査では、20年の調査開始以来で最高の28.5%に達した後、下がり続けていた。

企業規模別では、従業員1万人以上が38.2%で前回調査比2.8ポイント増となった。1000人〜1万人未満では同1.1ポイント減の30.2%、100〜1000人未満では同0.3ポイント減の20.1%だった。

所属する企業のテレワーク方針について聞いたところ、「出社・テレワークの割合について、目標値が設定されている」との回答が同2.3ポイント増の18.9%と増えた。テレワークを改めて推進しようとする会社方針がテレワーク率上昇につながったようだ。

従業員1万人以上の大企業に限定して、どの職種が増えたかを分析したところ「商品開発・研究」や「IT系技術職」、営業系職種などが上位だった。生産ラインなどの現業職ではなく、オフィス系の高度スキル人材のテレワーク率が高まっている。

高スキル人材の獲得競争が一段と激しくなるなか、大企業を中心に柔軟な働き方が可能な環境整備を進めざるを得なくなっていることが背景にある。ただ今後、コロナ禍中のようにテレワークに大きく回帰することはなさそうだ。

パーソル総研の小林祐児上席主任研究員は「対面をベースとした人材育成手法が中心の日本では、今後テレワーク率が再び大幅に上昇することは考えにくい」とみる。

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