PwCジャパングループは22日、日本で1年以内に転職を考える人が29%に達したとする調査結果を発表した。これまで世界平均を下回っていたが逆転した。他国に比べて働きがいが低いほか、賃金への不満が背景にある。転職市場が活性化し、人材の流動性が増している。

「24年度グローバル従業員意識・職場環境調査」を、世界50の国・地域の5万6600人を対象に3月に実施した。日本の回答者数は2500人だった。

今後1年以内に転職する可能性について聞いたところ「おおいにある」「とてもある」と答えた人が全体の29%だった。前年調査に比べ9ポイント上昇し、新型コロナウイルス禍の22年(14%)の2倍になった。世界平均は24年が28%、23年は26%だった。

背景には日本の働きがいの低さがありそうだ。現在の仕事に「充実感がある」と答えた人は日本が34%で、世界平均の53%を下回った。「大変だがやりがいがある」も日本が33%に対し世界は49%だった。

差が大きかったのは「公正な報酬が支払われている」の回答で、日本は世界を29ポイント下回る23%にとどまった。経済的ストレスは従業員の心身に悪影響を及ぼし生産性を低下させるという。

調査を担当したPwCコンサルティング(東京・千代田)の加藤守和ディレクターは「日本でイヤイヤ働きストレスをためて続けている人が、活況な転職市場をみて退職意向を急速に強めている」と分析する。

調査では、転職を考える人の53%が転職によるスキル向上を重視していることも分かった。加藤氏は「継続的で適切なスキル向上機会の提供は、企業が従業員の定着を図る一手だ」と話す。

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