米パラマウントを巡る買収合戦の決着は先延ばしになった=ロイター

【ニューヨーク=清水石珠実】米メディア大手パラマウント・グローバルに買収提案をしていたメディア業界の大物エドガー・ブロンフマン・ジュニア氏が、買収提示額を引き上げたことが22日までに分かった。新しい提案を受けて同社は21日、同日としていた買収交渉の期限を9月5日に延期したと発表した。

米メディアによると、ブロンフマン氏は買収提案の総額を60億ドル(約8800億円)に引き上げた。当初は43億ドルを提示していた。

パラマウントは、事実上のオーナーであるレッドストーン家が非上場企業の「ナショナル・アミューズメント(NAI)」を通じて議決権の約8割を握る。

ブロンフマン氏はNAIを買収するとともに、パラマウントにも出資して少数株主になることを提案していた。

新しい提案は議決権のない株式の取得にも資金を投じる計画を盛り込んだ。オーナー家を優遇した買収計画だという一般株主の不満をやわらげる狙いがある。

米メディア業界は主戦場が動画配信に移り、同業他社やIT(情報技術)大手に規模で劣るパラマウントの業績は低迷していた。

レッドストーン家は株式の売却を決意し、7月に米映画製作大手スカイダンス・メディアによる事実上の買収に合意した。

合意にはパラマウントが他の買い手を探すことを認める「ゴー・ショップ」条項を盛り込んでいた。同条項の期限は45日間で、締め切り直前にブロンフマン氏が対抗案を提出した形となった。

パラマウントは同氏の買収提案の可否を判断するため、ゴー・ショップの期限を15日間延ばす。

今後、取締役会が設置した特別委員会が、スカイダンスによる買収計画とブロンフマン氏による提案の優劣を精査する。これ以上、新規の買収提案を受け付ける可能性はないという。

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