商品の発売について記者会見した油長酒造の山本社長(中央)と興福寺常如院の辻院主㊨(26日、奈良市)

「風の森」ブランドの日本酒で知られる油長酒造(奈良県御所市)は、奈良市の興福寺の僧侶が記した日記に残る製法を再現して醸造した「興福寺多聞院×水端(みづはな)1568」を商品化した。興福寺子院の常如院・辻明俊院主とこうじ作りなどで共同作業した。352本限定で、9月1日に興福寺国宝館で発売を予定する。価格は1本1万3200円。

多聞院日記は室町時代から江戸時代にかけて書かれた。今回は原料を3回に分けて入れる「3段仕込み」で最も古いと記録される1568年の日記を基に再現した。再現性を高めるために、興福寺ゆかりの地の湧き水を一部使用し、大きくて深い器「大甕(おおがめ)」で仕込んだ。コメとこうじ由来の甘みを感じられる味に仕上がったという。

日本の伝統色「浅葱(あさぎ)色」をした美濃焼の陶器製容器(500ミリリットル)入りで、同陶器製の酒器とセットで販売する。「水端」は物事の始まりを意味し、油長酒造が日本酒醸造技術の源流をたどる取り組みとしてブランド化している。山本長兵衛社長は「現代の酒造りにも生かしていく。これをきっかけにぜひ奈良に足を運んでもらいたい」と話す。

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