写真はイメージ=ゲッティ

 転職市場で年収アップの動きが顕著な業界は――。パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda(デューダ)」は24日、転職時の業種別年収上昇ランキングを発表した。

 同サービスを利用して転職した個人のデータをもとに分析した。2023年度の転職者のうち、前職に比べて年収が「増加」した人は58・5%と過半を占めた。「減少」は40・4%、「変わらない」は1・1%だった。新型コロナウイルス禍後の経済活動の再開や人手不足などを背景に、自社に必要な即戦力の獲得を目的とした転職市場でも企業側が提示する年収を引き上げる動きが増えている。

トップは「外食」

 また、23年度の平均年収の上昇幅(22年度比)も業種別に算出した。15業種中のトップは「外食」で、23年度の年収は前年度比29万円増の424万円だった。

 同サービスによると、コロナ禍で外食産業は人材が流出したが、インバウンド(訪日客)による需要増などを背景に新規出店などが加速し、店長などの採用活動を強化する動きがあった。一方で、国内で人口減が進む中、国外に活路を見いだそうとする企業もあり「海外店舗開発」などの人材ニーズも急増したという。

 2位は「エネルギー」で23年度の年収は同17万円増の514万円。電力の小売り全面自由化による新電力の参入で、エネルギー業界は顧客争奪戦が激化している。営業力強化に向けた人材獲得のため年収アップが進んでいるという。また、もともと高年収の通信会社などの異業種が新電力として業界参入していることも年収の押し上げ要因だという。

 3位は「運輸・物流」で、23年度の年収は同12万円増の455万円だった。24年4月にトラックドライバーの時間外労働の上限規制が始まったが、残業代の大幅減によるドライバーの離職を食い止めるべくベースアップなどの待遇改善が進み、転職市場の年収アップにもつながった。

 デューダの桜井貴史編集長は「ますます労働人口が減ることを加味すると、企業は給与体系の見直しや賃上げを避けては通れず、転職時の提示年収は徐々に上がっていくと考えられる」としている。【嶋田夕子】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。