サッポロが期間限定で発売する「エビスクリエイティブブリュー 燻(いぶし)」

サッポロビールは9月10日からエビスビールブランドの新商品「エビスクリエイティブブリュー 燻(いぶし)」を期間限定で発売する。4月に開業した東京・恵比寿にある醸造所の提供ビールがきっかけとなった商品だ。同醸造所からの商品化は初めてで、2025年2月までに21万ケース(1ケース大瓶20本換算)の販売を見込む。

24年4月に開業した醸造所「YEBISU BREWERY TOKYO(エビス・ブルワリー・トウキョウ)」では、常時4種類のビールを提供している。2種類の定番ビールのほか、半期に一度変わる期間限定ビール、ほぼ毎月変わる数量限定ビールがある。燻は開業時の数量限定ビール「煙々(えんえん)」を元にした商品だ。

煙々はエビスブランドとして初めて、原料の一部にブナ材で燻した麦芽を使った。同醸造所で醸造責任を担うマーケティング本部エビスブランドグループのチーフ・エクスペリエンス・ブリュワー、有友亮太氏は「限定品のビールはホップを変えた商品が多いなか、麦芽を変えたものも消費者に体験してもらいたかった」と話す。

「燻」は醸造所開業時の限定ビール「煙々」をもとにした商品だ

当初1カ月半〜2カ月で2500杯を売り切る想定だったが、蓋を開けてみると注文が殺到して3週間で完売した。1人1杯の制限を設けたが、正午にオープンして、午後3〜4時には1日90杯の予定数量が売り切れるほどだった。

有友氏は醸造所に立って来場者と定期的に交流しており、飲んだ消費者からは「今まで飲んだことのない味わい」「スモーキーな香りがおいしい」と好評だったという。

有友氏は「燻製(くんせい)のクセが強い香りがポジティブに受け入れられ、思っていたより消費者の身近なものになっていた。いい価値として届けられるのではないか」と考え、全国発売を決めた。有友氏が手掛けるエビスブランド「クリエイティブブリュー」の第5弾商品として9月10日に販売する。

全国発売を機に燻製麦芽の配合比率も調整し、より奥深い味わいに仕上げた。秋の夜長に、1人たき火をしながら飲むようなシーンを想定している。

エビスビアホリデーでは樽からついだ燻を1杯800円で提供

350ミリリットル缶の参考小売価格は284円、500ミリリットルびんは同391円。25年2月までに21万ケースの販売を目指す。

24年8月23日から恵比寿ガーデンプレイスで開くビールイベント「YEBISU BEER HOLIDAY(エビスビアホリデー)」では先行して樽(たる)から注いだ燻を1杯800円で提供する。9月1日までの会期中に1万3000人の入場者を見込む。

「エビス」醸造責任者の有友氏は「ホラーからインスピレーションを受けたビールがあっても面白い」と語る

有友氏は入社10年目の時にエビスブランドの醸造責任者に抜てきされた。工場で醸造工程を担当したり、研究所で酵母を研究したりした後、ドイツにあるビール醸造に関する研究教育機関で留学。当時の経験から、絵画や彫刻などの芸術作品をもビールづくりの参考にする。

有友氏は「ビールだけの発想ではなく、例えば映画や本など周辺領域からのものづくりにもチャレンジしてみたい。ホラー映画からインスピレーションを受けたビールがあっても面白い」と語る。

ほぼ毎月変わるビールの新商品など現在5つほどの開発を一手に担っているという。有友氏は「飲用体験してもらうことが最終ゴール」といい、消費者が飲むシーンを思い浮かべながら開発に取り組む。醸造所発の第2弾、第3弾の商品にもつなげたい考えだ。

(八木悠介)

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