イムラが開発したEC商品配送用の包装材

封筒最大手のイムラは24日、奈良県葛城市に電子商取引(EC)商品の配送に使う包装材などを生産する新工場を建設すると発表した。総投資額は約56億円で、2025年末に完成する予定。主力の封筒はIT化の進展で市場拡大が見込みにくい。新工場を通じて、成長余地のあるEC向け事業に本格参入する。

同社は配送時の外部からの衝撃に対応した紙製の包装材を開発しており、新工場で本格的に量産を始める。内側に細かいひし形の切れ込みを入れたA4サイズの包材で、EC商品を入れると切れ込みがメッシュ状に広がり、クッションの機能を果たす。

EC商品はかさばる段ボールで運ばれることが多い。最近は気泡状の緩衝シートを内側に貼り付けた封筒状のコンパクトな包装材も増えているが、イムラの包材はさらに3分の1程度の薄さにできる。配送先が不在の場合もそのまま郵便ポストに入れることもできる。再利用可能な紙材でできている環境性能の高さもアピールしてECサイトの運営会社などに採用を促す考えだ。

イムラは1918年創業の封筒製造国内最大手。公共料金の請求書など業務用封筒に強みを持つ。ただインターネットの普及で、封筒の利用数は減少傾向にある。ビジネスの場でも電子メールなどによるやりとりが主流となり、資料などを送付するための封筒の需要は落ち込んでいる。社会・経済活動における急速なIT化が事業の逆風となった格好だ。

2023年2月に「イムラ封筒」から「イムラ」に社名を変更。封筒関連に依存する事業構造からの脱却を目指している。特にECのようにIT化で成長してきた仮想の商空間とリアルの商品流通の接点に商機があるとみる。

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