実証実験で使用する着席定員が8人の小型EVバス(イメージ)

大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は24日、運行する路線バスの一部をワゴン型の小型車両に置き換える実証実験を2025年1月に始めると明らかにした。人口減少による郊外のバス路線の利用率の低下や、運転手不足といった課題の解決策となると期待する。

同日開いた「大阪市会・Osaka Metro・シティバス連絡会議」で計画を示した。現在使用している約35座席を備える大型バスに代わり、一部の路線で着席定員が8人のワゴン型の電気自動車(EV)を導入する。

小型EVバスの導入費用は大型バスの7割程度となるとみられる。整備費や運転手の免許取得費用や研修費も抑えられるほか、普通二種免許で運転できるため運転手確保が容易になると見込む。

4月から小型EVバスの運行計画の検討を始める。7月から現在運行する路線バスにAI(人工知能)カメラを設置して利用状況を確かめ、25年1月から利用者数が少なく他系統路線バスなど代替交通手段がある路線で小型EVバスを導入する。現在保有するバスの台数の20%以下の数十台から導入を始める予定だ。

実証実験を通じて、採算や適正な運行頻度などを検証する。結果次第では25年9月本格導入の方針を決定し、同年11月から実際の運行を始める計画だ。将来的には需要の変化に合わせて路線や時間帯別に大型バスやオンデマンドバス、小型バスを組み合わせた最適な運行計画の実施を目指す。

大阪メトロ傘下の大阪シティバスが運営する路線バスの22年度の乗車人員は新型コロナウイルス禍前の19年度の81%の水準にとどまっている。都市への人口集中もあり郊外の移動需要は今後も減少し、路線バスの収支はさらに悪化するとみられる。

運転手不足も深刻化している。同社は毎年2%運転手が減少すると仮定すると、30年度には86のバス路線のうち約30%の27路線が維持できなくなると試算している。

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