医療費は3年連続で過去最高を更新した

厚生労働省は3日、2023年度に病気やけがなどの受診で医療機関に支払われた医療費の概算を公表した。総額は47.3兆円で22年度から2.9%(1.3兆円)増加し、3年連続で過去最高を更新した。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始め、全体を押し上げた。

75歳以上の医療費は18.8兆円と4.5%増え、全体に占める割合は39.8%になった。75歳以上の1人あたり医療費は平均96万5000円と0.9%上昇し、75歳未満の平均(25万2000円)の約4倍になった。

23年度の医療費全体の伸び率は22年度(4.0%増)と比べて縮小した。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが23年5月に5類に移行し、診療報酬の加算が縮小した影響が出た。主に新型コロナが原因の医科医療費は4400億円で、前年度の8600億円から減少した。

若年層の医療費の伸びも目立った。年齢別では、未就学児の1人あたり医療費は前年度比6.7%増えた。インフルエンザやRSウイルスなど、新型コロナ以外の感染症が流行した影響が出た。

診療種類別では調剤が5.4%増えた。若年層を中心に処方箋の受付枚数が伸びた。入院は3.1%増、外来など入院外は1.0%増、歯科は1.9%増だった。

概算医療費は病気やけがなどの受診で医療機関に支払われた総額で、労災保険や全額自己負担のケースなどは含まない。医療費の中心的な統計である「国民医療費」の速報的な調査で、国民医療費の約98%に相当する。

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