財務省は4日、2025年度一般会計予算の概算要求総額が過去最大の117兆6059億円だったと発表した。国債(借金)利払い費や防衛費、社会保障費が増加し、4年連続で110兆円を突破した。「金利ある世界」の復活や地政学リスクの高まり、少子高齢化の進行など喫緊の課題が山積している。

27日投開票の自民党総裁選で選ばれた新総裁が首相に就いた後は、衆院解散・総選挙をにらみ与党からの歳出圧力が強まる可能性もある。年末に向けた予算編成では、例年以上に厳格な査定が求められる。

概算要求総額は24年度(114兆3852億円)を超え、2年連続で過去最大を更新した。看板施策を優遇する「重要政策推進枠(特別枠)」は上限に近い4兆1585億円。例外的に要求時は金額を示さなくてよい「事項要求」も60件超に及ぶ。物価高対策や賃上げ促進など多岐にわたり、実質的な要求額はさらに膨らむ。

日銀によるマイナス金利政策解除と利上げ後、初めての概算要求となり、国債の元利払いに充てる「国債費」の要求額は28兆9116億円に達した。当初予算で過去最大だった24年度(27兆90億円)から2兆円近く拡大。利払い費だけで24年度当初予算と比べ12.8%伸びた。長期金利の上昇を受け、利払い費の計算に使う想定金利を2.1%に引き上げたことが響いた。

厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、防衛省は過去最大の8兆5045億円を計上した。24年度当初予算比で7.4%増。物価高や円安が装備品の調達価格を押し上げていることも反映した。23年度から5年間の防衛費を総額43兆円程度に定めた政府計画に基づき、中国を念頭に置いた島しょ防衛の強化や、敵のミサイル基地を攻撃する反撃能力整備などに充てる。

少子高齢化や教育分野の増額要求も相次いだ。年金・医療などの社会保障費は予算全体の約3割を占め、増加の一途をたどる。省庁別で最も多い厚生労働省の要求額は過去最大の34兆2763億円。質の高い教員の確保へ処遇改善を打ち出した文部科学省は5兆9530億円、「異次元の少子化対策」の司令塔を担うこども家庭庁は4兆2189億円だった。

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