東京電力福島第1原発の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の初回収に向けた2号機での作業が中断したトラブルについて、東電は5日、調査結果を公表した。現場は高線量下であるにもかかわらず、東電自身が現場確認や事前訓練をせず、協力企業任せにしていた。
記者会見した小野明・福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は「非常に重要な作業だという考えが及んでいなかった」と釈明。試験取り出しの態勢や手順書を見直し、パイプを正しい順に並べ直すなどして、早ければ来週にも作業を再開するとした。
作業は8月22日に着手する予定だった。しかし、取り出し装置を格納容器内部に押し込むパイプ5本をケーブルに通す順番が間違っていることが判明し、直前に作業を中断した。
パイプは、7月27~29日に協力企業の作業員が原子炉建屋内に運んで接続した際に順番を誤った。パイプには接続する順に1~5の番号が書かれているが、現場は毎時数ミリシーベルトと高線量で、全面マスクなどの重装備をしているため識別が難しかったという。
東電は、パイプの準備を「単純作業」とみなし、接続の順番を確認することを手順書に明記しなかった。このため、東電社員は現場確認をせず、事前の訓練もしていなかった。
東電の小早川智明社長は4日に同様の内容を斎藤健経済産業相に報告していた。【高橋由衣】
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