セコムと伊藤忠商事は共同でパスコにTOBを実施する

セコムと伊藤忠商事は5日、測量サービス国内最大手のパスコに共同でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。12月めどにパスコは上場廃止になる見通し。セコムはパスコへの出資比率を71.66%から75%に高める。伊藤忠は25%出資にし、持ち分法適用会社にする。パスコは両社の支援で民間企業向けや海外で成長をめざす。

買い付け価格は1株につき2140円で、パスコの4日終値に約31%の上乗せ幅(プレミアム)をつけた。公開買い付け期間は9月6日から10月22日まで。買い付け額はセコムが10億円、伊藤忠は77億円を見込む。伊藤忠は完全子会社を通じて実施する。

TOB終了後、両社は12月中にも残った少数株主から株式併合によって株式を買い上げるスクイーズアウト(強制買い取り)を完了し、パスコは上場廃止となる。

パスコは航空機や車両、人工衛星などを使った測量により地理空間データを収集し、加工や分析も手がける。道路や橋梁の管理、インフラや森林保全、防災対策などに使われる。売上高の約9割を公共向けが占め、民間や海外向けが課題だった。24年3月期の売上高が607億円、純利益は50億円だった。

伊藤忠はメディア大手との合弁会社を通じて衛星通信大手のスカパーJSATホールディングスに出資している。パスコへの出資で既存の宇宙関連事業やデジタル事業との相乗効果も見込めそうだ。

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