公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 内視鏡洗浄器を巡り「抱き合わせ販売」をしたとして、公正取引委員会が医療機器販売会社「ASP Japan」(東京都港区)に対し、独占禁止法違反(不公正な取引方法)を認定する方針を固めたことが24日、関係者への取材で判明した。すでにASPへ通知しており、近く排除措置命令を出す見込み。ASPとともに立ち入り検査をした米医薬品大手「ジョンソン・エンド・ジョンソン」(J&J)については処分を見送る模様だ。

 関係者によると、ASPは自社製の消毒液しか使えない仕様にして、内視鏡洗浄器を販売するなどした疑いがある。ASPは2019年、J&Jの日本法人から洗浄器の販売事業を継承。公取委の調査対象となった販売方法はJ&Jが17年に始め、ASPに引き継がれた。J&J製の消毒液の特許が切れたことで安価な他社製品が流通するようになり、自社製品だけを使えるよう洗浄器メーカーに仕様を変更させたとみられる。

 独禁法は、商品・サービスを他の商品・サービスと一緒に購入させる「抱き合わせ販売」を禁じている。公取委は、ASPとJ&Jの販売手法が他社製品を市場から排除したとみている。ただ、J&Jについては洗浄器販売事業から撤退しているため、処分を見送る方針だという。

 公取委による「抱き合わせ販売」の認定は、1998年のマイクロソフト以来。同社は表計算ソフト「エクセル」と文書作成ソフト「ワード」を合わせてパソコンに搭載するよう、メーカーに圧力をかけたと認定された。人気ゲームソフト「ドラゴンクエスト」を巡り、別のソフトと一緒に販売した卸売業者が認定されたケースもある。【渡辺暢】

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