明治神宮外苑のいちょう並木は伐採せず保全する(東京都港区)

三井不動産は9日、神宮外苑地区の再開発事業について樹木の伐採抑制や新たに植える木の本数を増やす見直し案を公表した。伐採本数は当初計画の743本から619本に減らす。樹高3メートル以上の樹木の本数は開発前の1904本から2304本になる。建設予定の新野球場からの距離を確保することで景観や環境への影響を抑える。

神宮外苑の再開発は明治神宮が保有する土地の一部を三井不が借り、野球場やオフィスビル、ホテルなどを建設する。開発に伴う樹木の保全について、環境保護団体などから懸念の声があがっていた。三井不は施設計画の工夫や伐採する予定だった樹木の移植への変更により、敷地内の樹木の本数を当初計画の1998本から2304本に増やす。神宮外苑のシンボルであるいちょう並木は伐採しない。

また、いちょう並木の歩道縁石から新野球場地下軀体(くたい)までの距離(セットバック幅)を当初計画の8メートルから18.3メートルに見直し、樹木への影響を抑制する。計画見直しにあたり、複数の樹木医など専門家から助言を受けた。

再開発は2023年3月に解体工事に着手したものの、9月に東京都から樹木の保全について要請を受け、計画見直しにより1年近く延期している。36年の事業完了を目指すという計画への影響については「精査している」としている。

神宮外苑の再開発を巡っては、建設したオフィスビルやホテルから得られた収益を原資として明治神宮への借地料を支払う仕組み。敷地内の秩父宮ラグビー場や神宮球場の老朽化が進んでいる上、再開発が遅れれば明治神宮が保有する内苑の維持管理費が賄えなくなる懸念が生じていた。三井不とコンソーシアムを組む伊藤忠商事は7月、「環境が破壊されてしまうことを懸念されている一部の方々の誤解とは全く異なるものだ」とする声明を発表している。

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