住友化学はシンガポールにアクリル樹脂原料の生産拠点を持つ

住友化学は11日、アクリル樹脂原料「MMAモノマー」の生産能力を4割削減すると発表した。9月末をめどにシンガポールの子会社で生産設備の一部を停止する。中国メーカーの増産の影響などで稼働率や収益が悪化しており、生産体制を見直して採算性の向上を目指す。

MMAは透明性が高く、自動車のランプカバーや住宅塗料など幅広く使われている。シンガポールのMMAモノマーの生産能力を76%減の5.3万トン、それを原料とするアクリル樹脂「PMMA」で67%減の5万トンに減らす。住友化学全体での生産能力はそれぞれ42%、50%ずつ減る。2025年3月期の業績への影響はすでに織り込み済みだという。

住友化学は日本、サウジアラビアにもMMAモノマーの拠点を持ち、生産能力は世界4位だ。中国などで増産や設備能力増強が続いており、アジア向けへの販売が多いシンガポール拠点の稼働率も落ち込んでいた。設備を減らし稼働率を向上する。人員は再配置のほか、一部解雇も実施する。

今後は車の軽量化に向けた樹脂の利用や、リサイクルのしやすさなどを生かした高付加価値分野に注力する。樹脂のリサイクルでは他社への技術ライセンス供与を広げており、収益の安定化を目指す。

MMAモノマーでは三菱ケミカルグループが生産能力で世界トップに立つ。同社は製造コストがかかる旧式の製法の設備での生産は徐々に停止し、コスト競争力が高いとする独自製法での設備を強化しており米国では新工場建設も検討している。

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