新装オープンしたバス停は屋根を貫く白樫の木が特徴だ(25日、滋賀県近江八幡市)

和洋菓子製造・販売のたねやグループ(滋賀県近江八幡市)は25日、同市にある旗艦店「ラ コリーナ近江八幡」の最寄りのバス停を新装オープンさせた。県産材も使った木造の待合所を備える。同グループが建設したうえで路線バスを運行する近江鉄道(同県彦根市)に引き渡した。公共交通機関の利用拡大で「脱炭素」に貢献する狙いだ。

新装したバス停は「北之庄ラ コリーナ前」の近江八幡駅方面行き。待合所は屋根の長さ12メートル、奥行き2.8メートルの細長い形。高さは3.5メートルで、屋根を貫く形で植えた白樫(しらかし)の木が特徴だ。「ラ コリーナ」の設計にも参加した建築家、藤森照信氏がデザインした。滋賀県との協定に基づき、県産材を多く使っている。

たねやグループはかねてプラスチックの包装資材を削減するなど脱炭素に熱心だ。25日の竣工式典に参加した滋賀県の三日月大造知事は、新装されたバス停を「おしゃれで、居心地がよくて、バスに乗るのを忘れる人が出るかもしれない」と絶賛。そのうえで、県内で集客トップの観光施設「ラ コリーナ」を巡るバス利用の拡大に期待を示した。

新装オープンした待合所で歓談する三日月知事㊥、山本CEO㊨、藤森氏㊧(25日、滋賀県近江八幡市)

「ラ コリーナ」の来場者はマイカー利用が目立ち、休日は周辺でしばしば交通渋滞が起こる。近隣の鉄道駅からのシャトルバスの新設について、たねや側は近江鉄道などと水面下で協議してきたが、鉄道ダイヤとの調整が課題になっている。

渋滞解消に向けたバスの活用について、たねやグループの山本昌仁最高経営責任者(CEO)は式典後の日本経済新聞の取材に対し「(利用者には)周囲の名所をみながら(たねやの施設にも)来てもらうことも大事で、それも踏まえて(近江鉄道側などと)話し合っていきたい」と答えた。

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