国土交通省が17日発表した7月1日時点の基準地価は、全国平均(全用途)の変動率が前年比プラス1・4%となり、3年連続で上昇した。上昇幅は前年(1・0%)から拡大した。
東京・大阪・名古屋の3大都市圏はプラス3・9%で4年連続上昇し、前年(2・7%)を上回る伸び。地方圏もプラス0・4%と上昇幅が前年(0・3%)から拡大した。地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)はプラス6・8%と前年(8・1%)より減速したが、その他の地方圏はプラス0・2%と1992年以来32年ぶりに上昇に転じた。景気が緩やかに回復する中で、全国の県庁所在地などが上昇をけん引した。
商業地は、プラス2・4%と3年連続で上昇した。2%を超えたのは91年(3・4%)以来。このうち3大都市圏はプラス6・2%と前年(4・0%)から上昇幅がさらに拡大。地方圏もプラス0・9%と2年連続で伸びた。主要都市では店舗やホテルなどの需要が堅調で、再開発が進む東京・渋谷駅周辺や福岡・天神駅、博多駅周辺などで上昇幅が拡大した。インバウンド(訪日客)が多く集まる長野県白馬村や岐阜県高山市など観光地の上昇も目立った。
住宅地もプラス0・9%と3年連続で上昇し、上昇幅は前年(0・7%)から拡大した。このうち3大都市圏はプラス3・0%と3年連続で上昇。円安による海外からの投資需要に加え、新型コロナウイルス禍からの回復で利便性の高い都心部の住宅需要が高まっており、大都市圏の中心部で上昇傾向が強まった。一方、地方圏はプラス0・1%で前年から横ばいだった。
商業地、住宅地ともにバブル景気が終わった91年以来の上昇幅となったが、国交省は「バブル期のように短期で売買されている状況にはない。実需を反映させた緩やかな上昇が継続している」と分析している。
商業地の上昇率トップは、半導体の受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が進出した熊本県菊陽町に隣接する大津町でプラス33・3%。国内半導体企業「ラピダス」が工場を建設中の北海道千歳市は前年より伸びが鈍化したものの、20%を超える高い上昇となった。住宅地の上昇率トップは、リゾート地の沖縄県恩納村で29・0%。県外からの移住需要が広がり、同県宮古島市も上位を占めた。
商業地の最高地点は、19年連続で東京・銀座の「明治屋銀座ビル」。1平方メートル当たり4210万円で、プラス5・0%だった。
また、1月1日に発生した能登半島地震の影響が初めて反映され、北陸地方では地価の大幅な下落が目立った。商業地で最も下落幅が大きかったのは石川県輪島市で、マイナス17・1%(前年は同4・4%)だった。【佐久間一輝】
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