血液検査装置大手のシスメックスは17日、アルツハイマー病治療薬の副作用リスクを予測する試薬の国内での製造・販売承認を厚生労働省に申請したと発表した。アルツハイマー病の原因物質の一つとされるたんぱく質「アミロイドベータ」を患者の脳から取り除く抗体薬の販売が始まったが、患者の遺伝子型によっては副作用のリスクが高まることも明らかになっている。投薬前に遺伝子型を調べるニーズに対応する。

血液中の脂質を運ぶ「アポリポたんぱく質E」をつくる「APOE」遺伝子の遺伝型を判定する試薬の承認を13日に申請した。APOE遺伝子には構造がわずかに異なる2、3、4型の遺伝子型がある。4型の遺伝子を両親から引き継いだ「APOE4ホモ接合体」と呼ばれる遺伝子型の患者は、他の遺伝子型のアルツハイマー病患者に比べ、抗体薬を投与された際に、脳の血管の周りに液体成分がたまる浮腫ができるなどの副作用が起きやすいことが分かってきた。

シスメックスはエーザイから検体の提供を受けて試薬を開発した。血液中からDNAを抽出し、PCR検査装置を使ってAPOE遺伝子型を調べることができる。アルツハイマー病治療薬の投与を検討する際に、医師や患者、家族が副作用のリスクについても把握できるようになる可能性がある。

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