ローソンの経営をめぐってはKDDIが株式の半数を取得し、残る半数を保有する大手商社の三菱商事と今月から共同経営を行う体制になりました。

新体制になって初めて3社が合同で記者会見を開き、この中でローソンの竹増貞信社長は「3社の知見を入れることで、世界一成長し、世界一お客様に評価される店舗を目指していきたい」と述べました。

そして、3社は最新の通信やデジタルの技術を取り入れたコンビニを、来年春をめどに都内で2店舗展開すると発表しました。

会場では将来導入が検討されている技術も公開され、商品棚にある電子看板にはAIを搭載したカメラが設置され、客が手に取った商品を分析して割り引きの広告などを表示していました。

また、飲料品のコーナーでは棚に並ぶお茶やジュースがなくなったことをセンサーで把握し、必要な分だけロボットが自動で補充する仕組みになっています。

コンビニ業界では、物価高の中で売り上げをどう伸ばしていくかや、人手不足が課題になっていて、3社は最新技術を活用した店舗のさらなる展開を目指すとしています。

背景に「ポイント経済圏」めぐる競争も

KDDIがローソンの共同経営に乗り出す背景には、携帯大手各社のいわゆる「ポイント経済圏」をめぐる激しい競争も背景にあります。

各社のサービスごとに会員数をみると
▽KDDIなどの「Pontaポイント」は1億1000万人以上
▽楽天グループの「楽天ポイント」は1億人以上
▽NTTドコモの「dポイント」はおよそ1億人
▽ソフトバンクの「PayPayポイント」は6500万人となっています。

各社は、さまざまなサービスを展開して顧客の囲い込みを進めることで、携帯電話や金融など幅広い事業で収益を確保しようと、他社との連携や事業の強化を進めています。

KDDIは今回の共同経営を通じて、全国およそ1万4600のローソンの店舗を足がかりに、両社のポイント事業の連携を深めることにしているほか、携帯電話事業や金融事業との強化にもつなげたいとしています。

これに対し、NTTドコモはことし4月からネット通販大手のアマゾンとの間で、ポイントサービスの協業を始めています。
ネット通販を利用した際に双方のポイントを付与し、会員数や携帯電話の契約数を拡大させるねらいです。

一方、ソフトバンクはスマホ決済の「PayPay」を軸にサービスを展開しています。
資産運用のようにポイントを使うことができるサービスを強化するなど、ポイントの用途を広げる戦略を進めています。

また、楽天グループはグループ内にネット通販や金融サービスなど、さまざまな事業を持っていて、ポイントの連携を強化することで、赤字が続く携帯電話事業の拡大にもつなげたい考えです。

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