日本郵船は産業廃棄物処理のオオノ開発(松山市)と組み、国内で大型船舶を解体して鉄スクラップのリサイクルに乗り出すと発表した。船舶に使われる鉄は不純物が少なく再利用価値が高いものの、近年は人件費の安い海外での解体が主流となっている。国内で安全性の高い船舶の解体拠点をつくり、鉄資源の循環を進める。

このほど両社で共同検討の覚書を結んだ。船舶の解体工事はオオノ開発が保有する愛知県知多市にある船舶修理用のドライドックで行う。このドックの敷地内には産業廃棄物を焼却して発電する設備も用意する。

世界的な脱炭素化の中で鉄鋼業界では高炉から電炉へのシフトや、鉄スクラップの利用拡大が進む。鉄スクラップは不純物の含有量が少なく良質な鉄資源とされる。船に使われる鉄も質が高く、解体された中大型船の大半は建築資材や再生素材などとしてリサイクルされている。

現在は船舶の解体は人件費の安い海外が中心となり、日本では1990年以降に大型船の解体事例はないとされる。日本郵船もバングラデシュやインドなど海外で実施し、鉄スクラップを再資源化していた。

一方で海外では解体時に労働災害が起きたり、環境汚染などの対策が未整備なことが課題だった。国際海事機関(IMO)は2025年6月に解体時の労働安全の確保や環境保全を目的にした「シップリサイクル条約」を発効する。

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