富士通は25日、2025年3月期に1800億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。発行済み株式(自己株式を除く)の8%にあたる1億5000万株を上限に買い付ける。今期の連結純利益(国際会計基準)は過去最高だった前期を下回るものの、フリーキャッシュフロー(FCF、純現金収支)の伸びを受け株主還元の充実と資本効率の向上を図る。
買い付け期間は5月1日〜25年3月31日。同社は24年3月期〜26年3月期の3年間の総還元額として合計6000億円を計画する。
25年3月期の年間配当は、株式分割を考慮すると前期比2円増の28円。9期連続の増配を見込む。配当総額と自社株買いを合わせた総還元額は前期比52%増の2300億円。総還元性向は102%と、前期(60%)を上回る。
今期は売上高にあたる連結売上収益が前期比0.1%増の3兆7600億円、純利益が4%減の2260億円となる見通しだ。デジタルトランスフォーメーション(DX)需要を追い風に主力のIT(情報技術)サービスが伸びる。
欧州でのパソコン事業撤退に伴う一時的な費用がなくなることなどで、FCFは2200億円と前期を45%上回る。
併せて発表した24年3月期の連結決算は、売上収益が前の期比1%増の3兆7560億円、純利益が18%増の2544億円だった。欧州事業の再編に伴う税金費用の減少が寄与した。
英子会社の会計システムの欠陥に端を発した、英郵便局の冤罪(えんざい)事件を巡り、富士通は英政府関連の新規入札を自粛している。時田隆仁社長はこれに伴う業績への影響は「限定的」とした。
英国では賠償に向けて富士通に一部負担を求める声もある。時田社長は「(英国で進む)法定調査の結果をもって考えていく。英国政府と密なコミュニケーションの中で、どういった対応が必要なのか考えていきたい」と説明した。
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