日本製鉄は去年12月、アメリカのUSスチールを買収することで両社で合意しましたが、鉄鋼業界の労働組合、USW=全米鉄鋼労働組合は一貫して買収に反対しています。

さらに、労働組合の執行部は今月に入って、組合員向けに相次いでレターを発出し、「この買収はアメリカの国家安全保障を脅かすもので、USスチールへの投資には法的拘束力が無い」などと、主張しています。

これに対して日本製鉄は、労働組合の執行部が不正確な情報を流しているとしてUSスチールの従業員向けに宛てた文書を公表しました。

この中では、
▽高炉の操業を長期的に維持し、従業員の雇用や福利厚生を守ること
▽安価な輸入品に対するUSスチールの通商に関する対抗措置には干渉しないこと
▽買収がアメリカの鉄鋼業界全体の競争力を高め、国家安全保障の強化につながること
を改めて強調しています。

また、労働組合の執行部が日本製鉄との交渉に全く応じず、会社側の提案を真剣に検討していないと指摘したうえで、協議に応じるよう求めました。

日本製鉄は買収計画の実現に向け、審査を進めるアメリカ政府の対米外国投資委員会に計画を再申請していて、委員会の判断は11月の大統領選挙後に延長されるという見方が出ています。

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