新郵便切手=東京都千代田区で2024年9月5日、長谷川直亮撮影

 値上げの秋。10月1日から郵便料金も約3割上がります。家計にとって厳しいですが、そもそもなぜ値上げするの? 今後も続くの? 背景と見通しをQ&A形式で整理しました。【藤渕志保】

 Q 10月から、はがきや切手の値段が上がるって聞いたよ?

 A 日本郵便は10月1日、郵便料金や手数料を大幅に改定します。はがきは1枚63円が85円に、定形郵便物(25グラム以下)は84円が110円になるなど、総じて約30%の値上げです。

 Q 郵便も値上げか。家計には厳しいなあ。

 A 利用者の多いレターパックや速達の値上げ幅は15%程度です。レターパックは郵便受けに届く「ライト」が370円から430円に、対面で手渡す「プラス」は520円から600円に上がります。通販の需要増加で伸びている宅配便「ゆうパック」や、ポスト投函(とうかん)型の「ゆうパケット」の運賃は変わりません。

 Q そもそもどうして値上げするの?

 A SNS(ネット交流サービス)やメールでのやり取りが広がり、郵便物の数量は2001年度の約262億通をピークに減り続け、23年度は約136億通と半減しました。一方、人件費や燃料費などの負担が重く、郵便事業は22年度から赤字が続いています。郵便サービスを維持するため、消費税率の引き上げ時以外では30年ぶりとなる本格的な値上げになりました。

 Q 経営努力が足りないんじゃないの?

 A 日本郵便も機械化や他社との提携などで「稼(かせ)ぐ力」を高めようとはしていますが、十分ではありません。ただし、郵便事業は誰もが公平に利用できる「ユニバーサルサービス」として、利用しやすさを優先し、全国均一のなるべく安い料金にするよう法律で定められています。必要以上に利益を追求できず、頻繁(ひんぱん)に値上げできる仕組みにもなっていないのが現状です。

 Q これからも値上げは続くの?

 A 今回の値上げで25年度は黒字化するものの、26年度に再び赤字となり、その後は赤字が拡大すると試算されています。この先も郵便物の数量の大幅な回復は見込みにくく、さらなる値上げは避(さ)けられそうにありません。郵便事業を所管する総務省は、7月から新たな有識者会議を立ち上げて郵便料金制度のあり方について議論を始めました。

 Q 使いきれなかった切手やはがきが、まだ手元に残っているんだけど。

 A これまでのレターパック、はがき、切手は、新料金との差額を支払えば10月以降も利用できます。手数料はかかりますが新料金のものと交換も可能です。早まって捨てないでくださいね。

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