伊藤忠商事が国内で手がける系統用蓄電池(大阪府)

伊藤忠商事は30日、今年2月に設立した一般の送電線につなぐ系統用蓄電池に投資する専用ファンドが80億円超を調達したと発表した。東京都から20億円の出資を受けたほか、東急不動産やホンダなど大手企業10社が資金を出した。蓄電池を開発し、官民連携で発電量が変動しやすい再生可能エネルギーの課題解消などにつなげる。

民間企業では伊藤忠のほか、東急不動産、東京センチュリー、日本郵政、芙蓉総合リース、ホンダ、三菱地所、三菱UFJ信託銀行、森トラスト、横浜銀行が出資した。各民間企業は出資を通じて系統用蓄電池のノウハウ獲得を狙う。系統用蓄電池の整備に特化したファンドは国内で初めてという。

ファンドは伊藤忠と系統用蓄電池専業ファンド運営大手の英ゴア・ストリート・キャピタルの折半出資会社が運営する。両社を中心に開業地の選定から設計・運用までを担い、2025年度をめどに第1号の蓄電所を立ち上げる計画だ。系統用蓄電池はまだ黎明(れいめい)期で資金調達手法が限られるためファンドで資金を拠出する。

系統用蓄電池は電力の余剰が見込まれる時に充電し、需給が逼迫する時などに放電を行う。安い時間に調達した電力を蓄電池にため、電力需給に応じて卸電力市場などで売買して収益をあげる。再生エネは天候などで出力が不安定になる課題があるため、調整弁の役目を果たす系統用蓄電池が注目されている。

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