帝国データバンクの調べによると、2024年度上半期(4-9月)の「人手不足倒産」件数は163件。半期としては過去最高だった23年度上半期を上回った。単純計算すれば、24年度は326件に達する見通しとなり、23年度実績を上回る勢いだ。

「働き方改革」関連法によって、長時間労働が慢性化していた物流や建設などの業種は2024年4月1日以降、年間時間外労働に960時間の上限が設定された。こうした「2024年問題」の企業経営に及ぼす影響について、帝国データの担当者は「会社が仕事量を維持しようとしても、人を雇えず倒産するケースもあれば、人を雇えても人件費負担が重くて倒産するケースも増えてきた」と話す。

帝国データによれば、建設・物流の2業種が人手不足倒産全体の45.4%を占めた。規模別では従業員10人未満の零細企業が8割となっている。人手不足はコロナ禍が収まり、景気の持ち直しと共に顕在化しており、24年問題の関連業種には特にしわ寄せが来ている。

人手不足を解消するには賃上げが求められ、石破茂首相は最低賃金の全国平均1500円への引き上げ時期を2020年代に前倒しする方針を打ち出している。これに対し、日本商工会議所の小林健会頭は「引き上げの方向に異論はない」としながらも、「支払い能力が一番の問題。中小企業の支払い能力を超えたら倒産が起きかねない」と懸念していた。

中小企業が賃上げの原資を確保するには、燃料や人件費などコスト増分の「価格転嫁が欠かせない」と、帝国データは指摘している。

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