水道展では耐震管も展示し、来場者がクボタ社員の説明に耳を傾けていた(9日、神戸市)

クボタは9日から神戸市で開催中の「水道展」で、地震など災害時に断水する戸数を予測するシステムを初めて展示した。2025年に全国の自治体向けに提供を開始する。能登半島では1月に発生した地震に加え、9月の豪雨を受けて断水の被害が拡大した。耐震化が遅れた水道管の更新計画の策定などに活用できると見込む。

クボタが持つ水道管のデータや事故履歴などをもとに水道管路の老朽度を自動で算出するほか、地盤の情報や過去の地震の被害情報などから災害の被害状況を予測する。財政状況が厳しい中小規模の自治体が、断水戸数が多くなりそうな管路の更新を優先できるようになるとしている。

クボタが提供するシステムによって、災害の影響を受けるリスクが高い水道管路が可視化される(9日、神戸市)

クボタは管路や浄水場などの水処理施設の維持管理を効率化するシステム「KSIS(クボタ・スマート・インフラストラクチャー・システム=ケーシス)」を提供している。新たに断水戸数を予測する機能を追加することで、自治体の業務効率化につなげたい考えだ。

管路の更新が進めば水道管メーカーとしての受注増加も期待できる。

水道管などの水インフラは全国の自治体が水道事業者として運営することが多い。しかし人手不足や財源不足もあり、近年では企業も運営にかかわる官民連携(PPP)の事例も増えてきた。クボタはKSISでデータを活用しながら業務を効率化することで、PPPの受注案件を増やす狙いだ。

パイプシステム事業部長の市川孝エグゼクティブオフィサーは9日の展示会会場で「これから耐震化をいかに進めるかは重要な課題だ。クボタはIT(情報技術)を活用してその手段を提供する」と話した。

水道展は神戸国際展示場で11日まで開催される。カナデビア(旧日立造船)なども出展しており、9日の来場者数は5000人を超えた。

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