電力制御システムなどを手掛ける正興電機製作所は北九州学術研究都市(北九州市)に新型蓄電池や巡視点検ロボットの研究開発拠点を建設する。投資額は41億円。同社は大規模定置型の「レドックスフロー電池」の開発を進めており、電力系統への接続の際に再生可能エネルギーによる「グリーン電力」を蓄える実証などに取り組む。
10日に北九州市と立地協定を結んだ。約9000平方メートルの敷地に研究開発棟(延べ床面積2000平方メートル)と先端ものづくり棟(同3100平方メートル)を2026年4月に完成させる。添田英俊社長は「周辺は洋上風力や太陽光など再生可能エネルギーの開発が盛んで、蓄電池の研究開発に最適だ」と立地の理由を説明した。
発電所や工場などで使う巡視点検ロボットの開発では、学研都市に拠点を持つ九州工業大学と連携する。ロボットの汎用性を広げ、低コスト化を探る。人工知能(AI)を使って遠隔設備監視システムの高度化にも取り組む。電気自動車(EV)の製造拠点やEVタクシーの営業拠点で充放電装置を使った再エネ活用についても研究する。
武内和久市長は「脱炭素技術の最先端の研究開発が行われることで、学研都市の可能性はさらに広がる」と期待感を示した。
正興電機は福岡市に本社を置き、東証プライムに上場している。24年12月期に売上高300億円、営業利益20億円を見込む。26年12月期を最終年度とする5年間の中期経営計画でそれぞれ400億円、36億円とする目標を掲げている。
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