ハイヤーの運転手がツアーガイドも担う

タクシー大手のエムケイホールディングス(HD、京都市)は16日、京都駅から滋賀県の料亭や寺社などをハイヤーで巡る富裕層向けの宿泊ツアーを始めると発表した。車がないとアクセスしづらい京都近郊の魅力を訴求し、訪日外国人(インバウンド)客や会合を目的とした企業など法人の利用も見込む。

エムケイHDと協力してツアーを企画した料亭「湖香六根」の店内

滋賀県東近江市の料亭「湖香六根(うかろっこん)」と協力してツアーを企画した。料金は1人あたり1泊10万〜50万円ほど。道中では遊覧船による水郷巡りなどを体験できるようにする。ツアーは12月から試行実施し、25年6月以降は正規のサービスとして広く参加者を募る。

湖香六根は、料亭とともに宿泊施設も運営している。琵琶湖で採れたウナギなどを使った料理は、インバウンド客からの人気も高い。料理長を兼ねる杉本宏樹代表は「これまで地理的に駅から遠いのが(料亭や宿泊施設の利用における)難点だった」とし、エムケイHDとの連携で潜在的な観光需要を掘り起こす考えだ。

湖香六根や宿泊施設で提供する料理は琵琶湖で採れた魚などを使っている

エムケイHDは同日、電気自動車(EV)のハイヤー利用で温暖化ガス排出が実質ゼロになるサービスを12月から始めることも正式に発表した。

EVの走行に必要な電力を発電する際に生まれる温暖化ガスを、あらかじめ購入したカーボンクレジット(排出枠)で相殺する。排出枠を購入するための費用は、EVハイヤーの利用者から料金とは別に100円を徴収してまかなう。環境意識の高い利用者の力を借りてカーボンニュートラルを実現する仕組みだ。

エムケイHDの青木信明社長は「ハイヤー利用でカーボンニュートラルに貢献できるなど、観光における新たな価値を提案したい」と述べた。

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