ホンヤルでの最小の営業規模のイメージ。冊数は500冊、仕入れ金額は65万円

出版取次大手のトーハンは17日、小規模書店の開業を支援するサービスを始めたと発表した。相談を随時受け付ける専用サイトを立ち上げ、取引時に差し入れを求めていた保証金を不要にする。流通コストを抑えて取引できるようにし、参入のハードルを引き下げる。書店の減少を食い止めるのが狙いだ。

サービス名は「HONYAL(ホンヤル)」。17日にサイトを公開し、開業相談の受け付けを始めた。対象となるのは月間の取引額が30万円から100万円の書店だ。書籍や雑誌以外を扱う店舗や住宅の一角を使ったり、営業時間を夜や週末に限定したりする書店が活用することを想定する。

副業として書店を経営したいと考える個人のほか、企業や自治体の需要も見込んでいる。既存の取引プランからホンヤルへの移行も可能だ。

通常の取引ではトーハンが決めた商品群を毎日受け取っていたが、ホンヤルでは注文品のみを原則週1回程度受け取る。返品率を15%までに抑え、配送コストを削減する。一般的に書店の返品率は35パーセントほどで、配送料の負担もあることから業界の課題となっている。

開業時には連帯保証人が2人、月間取引額の2カ月分に相当する保証金が必要だったが、原則不要にする。開業時の在庫を金利無しで分割で購入できるようにする。分割の場合は連帯保証人が必要になる。廃業時は在庫をトーハンが引き取る。

記者会見で話すトーハン取締役の堀内洋一氏(東京都新宿区)

趣味性の高い小規模な書店が始めやすくなるとみている。同様の書店は「独立系書店」などと呼ばれ増加傾向にあり、トーハンによると全国に341店舗ある。現在は都市部に集中しており、出店が少ない地方に潜在需要を見込む。

書店数はこの10年で3割減少し、「無書店自治体」は全体の4分の1を超える。トーハン取締役の堀内洋一氏は「書店とのタッチポイントを増やす。まずは1年以内に47都道府県で1店ずつ、ホンヤルを通じて開業させたい」と話した。

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