【ヒューストン=花房良祐】バイデン米政権は宇宙に関連する品目の輸出規制を緩和するとこのほど公表した。安全保障と外交関係を考慮したうえで米国企業が同盟国・友好国に人工衛星や宇宙船の部品など特定品目を輸出する際の規制を緩和する。宇宙ビジネスが拡大するなかで米国企業の海外展開を後押しする。
米起業家イーロン・マスク氏が率いるスペースXや防衛宇宙大手ロッキード・マーチン、ボーイングなどが恩恵を受けそうだ。「宇宙分野で技術革新を続ける米国産業の負担を減らす」(グレーブス商務副長官)のが狙いだ。
オーストラリア、英国、カナダへの宇宙船のリモートセンシングといった特定品目の輸出許可が不要になる。中国を念頭に立ち上げた米英オーストラリアの安保協力枠組み「AUKUS(オーカス)」での技術協力を円滑にして連携を深める狙いもある。
このほか、日本や韓国、欧州諸国など約40カ国に機密性の低い人工衛星部品などを輸出する際の輸出許可を不要とする。規制緩和で米航空宇宙局(NASA)の諸外国との協力をしやすくする。
スペースXは事業拡大のために米国政府に輸出規制の緩和を求めていた。ロイター通信によると、スペースXにはオーストラリアから大型宇宙船「スターシップ」を打ち上げる構想もあり、米豪の両政府と協議している。スターシップは月や火星に人類を送り込むことを計画している。
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