創業初期(シード期)のスタートアップに出資するベンチャーキャピタル(VC)のザシードキャピタル(東京・渋谷)が19日、大阪市内で学生向けイベントを開いた。関西出身の起業家、セーフィーの佐渡島隆平社長らが登壇した。東京に引けをとらないスタートアップのエコシステム(生態系)を生み出すには、学生も含めた裾野の拡大が欠かせない。
今回のイベント「スタートアップ関西」は、JR大阪駅北側の再開発区域「グラングリーン大阪」内にある「JAM BASE(ジャムベース)」で開いた。当日は学生や投資家など100人弱が参加した。
大阪大学の博士課程で量子コンピューターを学ぶブラジル出身のニュートン・フィーリョさんは「起業を考えている」として参加を決めた。会場では起業家や投資家が登壇するセッションに耳を傾けつつ、休憩時間には他の学生と交流していた。
スタートアップ情報データベースのINITIALによると、2023年の大阪府のスタートアップ資金調達額は237億円と東京都の25分の1にとどまった。起業を志す優秀な学生も、大学卒業などを機に上京することが多いのが現状だ。ただ大阪大学の技術を活用した核融合分野など、大学発スタートアップが増加し潮目は変わってきた。
東京からイベントに出席するために出張してきた松竹のコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)、松竹ベンチャーズの森川朋彦・取締役常務執行役員は「関西はこれからもっと大きくなる」と期待を寄せる。
セッションに登壇したニッセイ・キャピタルの上田宏介社長は起業を志す学生を前に「熱い情熱と、世の中を変えてやるという気持ちを持って挑戦してほしい」と話した。ザシードの廣澤太紀代表は「スキルが過大評価されている一方、情熱は過小評価されている。学生のうちに、情熱がある人と友達になると良いと思う」と指摘した。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。