国際通貨基金(IMF)は22日、最新の世界経済見通しを発表した。2024年の世界経済成長率を3・2%とし、7月の前回見通しから据え置いた。個人消費が堅調な米国を上方修正する一方、製造業が不振だったドイツや日本を下方修正した。また、11月の米大統領選の影響にも言及し、トランプ前大統領の掲げる関税引き上げなどが実行された場合、世界経済の大きな下押し要因になるとの見方を示した。
成長率3.2%、7月から据え置き
IMFは世界経済の先行きリスクとして、米大統領選など各国の選挙で誕生する新政権による経済政策の大幅な変更を挙げた。
トランプ氏は関税の大幅な引き上げや移民の取り締まり強化を掲げている。実施した場合、輸出や投資を下押しする一方で、労働力不足によるインフレ再燃で金融引き締め圧力となり、世界経済の成長率は25年に0・8ポイント、26年に1・3ポイント低下すると試算した。
国・地域別の24年の見通しでは、米国が2・8%で前回から0・2ポイント上方修正した。低所得者層を中心に実質賃金が上昇したことで個人消費が力強く推移し、企業の投資活動も活発だった。過熱していた労働市場の鈍化により、25年の成長率は2・2%と緩やかに減速するとの見方を示した。
欧州は0・8%で、前回から0・1ポイント下方修正した。製造業不振や不動産価格の下落が重荷となっているドイツを0・2ポイント引き下げ、ゼロ成長とした。
日本も0・3%と、前回から0・4ポイントの大幅な下方修正となった。大手自動車メーカーの認証不正による生産停止が影響した。昨年の訪日客急増による経済押し上げ効果の一巡も反映した。
中国は4・8%で前回から0・2ポイント引き下げた。不動産市況の低迷が続き、個人消費も低調だったものの、輸出は堅調で下方修正は小幅にとどまった。25年は4・5%で成長率が更に鈍化するとの見方を示した。
世界の物価上昇率は鈍化しており、先進国では24年に2・6%、25年には主要中央銀行が目標とする2・0%に落ち着くとの見方を示した。【ワシントン大久保渉】
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