【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)のガスパール財政局長は23日までに時事通信のインタビューに応じ、日本が今後著しい経済的ショックに見舞われれば、債務水準の悪化ペースは新型コロナウイルスの時期を上回る可能性があると警告した。債務リスクを踏まえ、早急に財政健全化に着手する必要性を訴えた。

IMFは日本の債務残高について、対国内総生産(GDP)比が今年、250%を超えた後、2020年代末にかけて245%へ緩やかに縮小すると予想。ただ、ガスパール氏は「対GDP比はコロナ禍で22ポイント上昇した。深刻な景気悪化シナリオでは、拡大ペースはコロナ期を上回る」との見通しを明らかにした。

その上でガスパール氏は、「明らかに日本の債務リスクは大きい」と懸念を示し、財政健全化が「非常に重要な優先課題だ」と主張した。

しかし、日本では27日の総選挙を控え、石破茂首相が大規模補正予算を検討する考えを示すなど、財政健全化の機運は乏しい。ガスパール氏は高齢化や人口減を考慮し、財政再建に向けた「信頼できる中期的な財政枠組みが有用だ」と強調した。

日銀が緩やかな利上げ路線を堅持しており、金利上昇が財政を一段と圧迫する恐れもあるが、ガスパール氏は、日銀の金融政策正常化を通じた「インフレの抑制が求められる」と力説した。

ガスパール氏は、債務水準安定化のカギとなるのはインフレの影響を除いた実質金利や実質成長率とした上で、持続的な成長を促す構造改革や、人材とインフラへの効果的な投資といった歳出面での工夫を要請した。「歳出の『質』こそ極めて重要だ」と述べた。

インタビューに答える国際通貨基金(IMF)のガスパール財政局長=18日、ワシントン

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