講演するウーバーテクノロジーズのドム・テイラー・モビリティ事業アジア太平洋地域代表(29日、東京都千代田区)

ライドシェア大手の米ウーバーテクノロジーズのドム・テイラー・モビリティ事業アジア太平洋地域代表は29日、日経フォーラム第26回世界経営者会議に登壇した。海外で拡大させたライドシェア事業を踏まえ、日本市場では今後「ライドシェアとタクシーの両方が重要な役割を果たしていく」と訴えた。

テイラー氏は、ライドシェアでオーストラリアがアジア太平洋地域において先駆けて成功した要因について「信頼性」「安全性」「値ごろ感」の3つを挙げた。例えば、短い待ち時間で車に乗れる信頼性を確保するため200社規模のパートナーと連携して十分な運転手を確保していると説明。適切な場所とタイミングで利用者とマッチングさせる強みを強調した。

テイラー氏はモビリティーの未来が自動運転と電気自動車(EV)によって急速に変化するとみる。ライドシェア事業は「1台の車を資産とみて座席を有効活用するシェアリングビジネス」と主張する。

世界の開発競争を念頭に、自動運転の車両が「時間はかかるが必ず普及する」と語った。自社で独自の自動運転技術を開発するのではなく、「プラットフォームの提携戦略を展開する」との考えを示した。

4月からタクシー会社に限って運営を認める「日本版ライドシェア」が始まった。ウーバーテクノロジーズの日本法人で配車アプリのウーバージャパン(東京・港)は運転手の採用支援やライドシェアの配車アプリなど、タクシー会社の支援事業を始めている。

日本でライドシェアが拡大する条件として「安全性が一番の優先事項だ」と訴えた。自社サービスでは運転手の経歴の事前調査や利用者のクレーム対応を進めているほか、全地球測位システム(GPS)で車両の走行状況を常に把握している。

「安全上重大な事故が起こる確率はごく僅かで、世界では減少傾向にある」と自信を見せる。事故率はサービスを提供する地域の治安に比例している。海外都市と比較して治安がよい日本ではタクシーと同等の安全を確保できる見通しを示した。高齢化の進行や観光客の増加を踏まえ、市場拡大に期待感を示す。

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