東日本大震災で停止した東北電力の女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)2号機が29日、13年ぶりに原子炉を起動した。震災後初となる東北での原発再稼働に、地元からは安全優先での運転を求める声が上がった。

再稼働に向けた作業の様子は原発南側の高台にある「女川原子力PRセンター」でライブ映像の形で公開された。

中央制御室には発電課長を筆頭に8人の運転要員が配置。午後7時ちょうど、運転員の1人が「3、2、1、0」と発声し、別の運転員が原子炉制御盤のモードスイッチを「燃料取替」から「起動」に切り替えた。

その後、原子炉のブレーキにあたる137本ある制御棒を1本ずつ引き抜き、原子炉内で13年ぶりに核分裂反応が始まった。

宮城県の村井嘉浩知事は同日昼の記者会見で「13年ぶりの稼働なので少しでも異常があれば作業を止めて積極的に情報公開してほしい。再稼働の工程を継続して確認したい」と話した。

東京電力福島第1原発の事故の記憶が強く残る東北で原発再稼働への抵抗感は根強く、同日午前には仙台市の東北電本店ビル前で市民団体が抗議の声を上げた。

福島県の内堀雅雄知事は28日の記者会見で「原発事故の現状と教訓を踏まえること、住民の安全安心の確保を最優先にすべきことを電力会社に求めたい」とした。

東北電力本店ビル前で市民団体が抗議の声を上げた(29日、仙台市)

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