北陸電力は30日、2025年3月期の連結純利益が前期比21%減の450億円になりそうだと発表した。従来予想は38%減の350億円だった。日本卸電力取引所(JEPX)での取引価格上昇に着目し、24年4〜9月期に卸販売量を2倍以上に増やしたのが奏功する。上方修正に伴い期末配当を7円50銭から10円まで増やす。
経常利益は44%減の600億円になる見通し。従来予想から150億円上方修正した。卸電力取引所への販売増や能登半島地震で被災した七尾大田火力発電所(石川県七尾市)の早期復旧を織り込んだ。前期比では、燃料価格の変動が電力料金に遅れて反映されることで生じる「期ずれ差益」が前期に比べ大幅に減少する。
30日発表した24年4〜9月期の純利益は前年同期比14%減の442億円だった。24年10月〜25年3月期の見通しについて松田光司社長は「燃料価格の上昇が見込まれる」と慎重な姿勢を崩さなかった。ウクライナ問題など地政学リスクのほか、冬の低温で欧州でガスの需要が高まり価格が上がる可能性を理由に挙げた。
9月21日に能登で発生した豪雨について松田社長は「10億〜20億円程度の被害額と想定している」との見方を示した。1月の能登半島地震で被災した約3000本の電柱のほかに、約800本の電柱に被害が出ていることを明らかにした。24年4〜9月期決算では全国の送配電事業者で災害時の仮復旧などのために積み立てている資金から22億円を災害等扶助交付金として特別利益に計上した。
同社の課題は財務体質の改善だ。ウクライナ侵略による燃料高で23年3月期で12.9%まで下がった自己資本比率を28年3月期までに20%以上とする目標を掲げる。24年9月末は19.3%にまで回復した。今後も改善を進める方針だ。
東北電力の女川原子力発電所(宮城県女川町)2号機が29日に稼働した。東日本大震災以降で沸騰水型軽水炉(BWR)の原発が再稼働するのは初めて。北陸電は同型炉である志賀原子力発電所2号機(石川県志賀町)の再稼働を目指し、原子力規制委員会の審査を受けている。
現段階で再稼働の時期は見通せていない。松田社長は今後の審査について「新しい知見を反映させながら、真摯に対応する」と話した。
30日には能登への移住者や進出企業に向けた支援策を検討していると明らかにした。時期や内容などは未定だが、移住者や企業の電気代の軽減などを想定する。輪島市など奥能登地域の9月1日時点の人口は前年同月比で8%減った。人や企業を呼び込み、地域経済の復興を後押しする。
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