京阪ホールディングス(HD)は8日、2025年3月期の連結純利益が前期比6%増の265億円になりそうだと発表した。マンション分譲や鉄道利用が好調で、期初予想を10億円上方修正した。あわせて資本政策の見直しを発表し、連結配当性向を来期から30%程度とするほか、200億円を上限とする自社株買いを実施する。
売上高に相当する営業収益は59億円積み増して前期比3%増の3119億円、営業利益は37億円増え、16%増の392億円に上方修正した。営業利益は過去最高となる。不動産事業のマンション分譲戸数が期初想定を上回る見通しとなった。事業用地の売却益計上も収益を押し上げる。
自社株買いは11日から25年6月30日まで実施する。うち100億円分は金融機関などの政策保有株を、11日付で立会外買い付け取引で取得する。残りの100億円分を市場買い付けで取得し、全取得株式は25年7月に消却する。配当性向目標を30%としたことで、26年3月期の1株あたり配当は、連結純利益が今期見通しと同水準だった場合は74円となり、今期配当予想(40円)から34円の増配となる。
京都や大阪を訪れるインバウンド(訪日外国人)増加で、鉄道やホテルの利用を押し上げた。京阪電気鉄道の旅客収入は、京阪電鉄の有料座席指定車両「プレミアムカー」導入やバリアフリー料金導入の効果もあり、新型コロナウイルスの影響が出る前と比べて、92.6%の水準まで回復する。
上方修正を受け、26年3月期までの中期経営計画で掲げた営業益目標を、今期で達成する見通しが立った。加藤好文会長は「コロナ禍を経て成長軌道への回帰を果たし、安定した収益構造と強固な財務基盤を構築できた」として、株主還元方針の見直しに踏み切ったと語った。
株主優待制度も見直し、プレミアムカーや、京阪グループのホテルなどの施設の利用券を新たに設ける。一定規模で長期保有する株主を増やす目的で、対象となる保有株式数を200株から300株に引き上げたほか、対象となる保有期間を1〜3年以上とした。
京阪電鉄を巡っては、天満橋―中之島間を結ぶ中之島線を大阪メトロ中央線九条駅まで延伸する計画について、大阪府・市が設置した協議会で検討が始まった。JR桜島線延伸と併せ、大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」への新線の案として想定される。夢洲は25年国際博覧会(大阪・関西万博)会場や、30年秋ごろ開業を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)予定地で、交通網の整備が必要となる。
加藤会長は、総工事費は700億〜800億円程度を想定しているとし、「単独での事業化は難しく、国の補助金や整備スキームなどが明確にする必要がある」と早期着工への意欲を見せた。
同日発表した2024年4〜9月期の連結決算は、営業収益が前年同期比18%増の1583億円、純利益が8%増の156億円だった。
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